2025/12/05
この記事は「Board Game Design Advent Calendar 2025」の5日目の記事として書いてます。
…書いてはいますが、いやこれボドゲのデザインとかいう話じゃないなって途中から気付くと思うので、先に言っておきます。
デザイン関係ないです。
どうも、改めまして、個人サークル「コップレジェンド」の中の人、翠丸です。
2013年からゲーム制作を開始するも、絶賛子育て奮闘中のため、2018年から5年のゲーム制作ブランクを経て
2022年に精霊回路ドライヴゼロをフルセット作成。
2023年には同最終拡張を出して、昨年はコンプリボドゲの1作品のみ。
からの今年は作品ゼロと、ゲーム制作者と言えるのか微妙なラインになってきました。
今年は上の子供が小学生にクラスチェンジしたり、母がR.I.P.したりと人生での節目っぽいイベントが発生したこともあり、近年の中でも特にドタバタした年だったように思います。
10月のボードゲーム会を最後に、年内にボードゲーム遊べそうな予定もありません。
娯楽成分が不足した1年でした。
でも「GQuuuuuuX」とか「人のカレンダー」をリアルタイムで触れられたのは最高でした。
リアルタイムでコンテンツに接する意味を考えさせられましたね。
とはいえ全体的に言えばデジタル含めてゲームというものにあまり触れられてないので、インプットもアウトプットもあんまり……、
いや、今どきの小学校事情とか、法定相続情報一覧図や遺産分割協議書の作り方とか、別ベクトルのインプットはやたら出来てはいるんですが…。
それらがゲーム制作に活かせるかどうかは別として、来年は1作品は出せるよう頑張ります。
前置きはこれくらいにして、
今回は【●●●●●】について。
イタリアのヴェネツィアに観光に訪れた来たあなたは、
物見遊山で教会に入る。
そこでふと懺悔室が目に入り、興味をそそられ中に入ってみたところ、隣の部屋の何者かがあなたを神父と勘違いして懺悔を始める。
そしてある“秘密”について語り始める…。
これは、ゲーム制作者の特権と傲慢と愉悦の話。
昔のファミコン時代、「裏技」はただの情報でなく、昭和キッズにとって神秘の輝きを放っていました。
まだインターネットが無い時代に、主に子供たちの間において口伝で広がり、或いはファミマガを立ち読みして情報を得ていました。 大技林を持っている友達は神扱いされ、それを見たいがために友達の友達の友達の家に遊びにいくなど、「裏技」という存在は殊更に特別でした。
格ゲー時代には、メストに載ってた豪鬼出現コマンドを失敗してリュウになったり、
アニメのサムスピで斬撃のエフェクトが実際の隠しコマンドになってたり、
行ったことのないゲーセンに謎のコマンド表あるって話聞いて遠征して、筐体に貼ってあった見たことのない手書きのコマンド見て「こんなコマンドあるぅ?」って半信半疑で試したらモリガンが分身&乱舞して「なななんじゃこりゃー!」ってなったりとか。
当時の格ゲーの超必はどれも隠しコマンドで、裏技枠でした。
でも改めてみると、ゲーセンのゲームってどれも基本その場でそのゲームの操作把握するのが標準でしたよね。
ロールアウトして時間が経ってればメストやムックで把握できるけど、新作やましてロケテなんて、その場のインストカードか、あとはせいぜいデモ画面を参考にするくらいで。
パズル系はスタート直後にちょっと説明あったかな?
よくよく考えると凄い環境だったんだなぁ。
今となっては衰退どころかほぼ絶滅してしまったゲーセン文化も、ゲーム文化の一時代を担う強めの熱気が確かに“そこ”にありました。
いや、違うわ。
ゲーセン話題回じゃないですわ。ボドゲ…というか少なくともこの項は裏技の話でした。
閑話休題。
デジタルゲームが十二分に成熟してる昨今において、バグ由来の「裏技」は修正されて消えるか、グリッチとしてRTAで活躍するか、意図したものであれば「裏技」という形でなく追加DLコンテンツという形で提供されるか。 いずれにしても「裏技」という概念自体がゲーセン文化と同じくほぼ絶滅し、その存在が纏う輝きは遠いものとなってしまいました。
そんな遠い昔に皆が憧れた「裏技」を、ボードゲームに組み込めないか。
そんな想いから、一つの社会実験的な“何か”が生み出されました。

2022年に作成した精霊回路ドライヴCtrl-Z/ゼロは、1年半後の2023年秋に作成した拡張セット7「黒鍵」・8【天剣】において、レガシー要素による「ボードゲームの最終回」の再現という、未曾有の試みに挑みました。
(ボードゲームの最終回ってなんぞ?という方は >>こちら)
しかしその実、2022年の段階で一つの実験的な要素が仕込まれていました。
既に、レガシー要素がその時点で存在していたのです。
製作者のみが知りえる秘密、裏技。
それはただ静かに秘匿され、発売から3年目にして一人が答えに辿り着いたのを機に、この夏に“秘密が存在している”ということを公開する運びになりました。
#精霊回路ドライヴゼロの謎
— コップレジェンド@翠丸/せかドラゼロ (@coplegend) June 21, 2025
2022年に発売した精霊回路ドライヴゼロは、2023年発売の拡張7・8で終極決戦モードというレガシー要素を搭載しましたが、実は2022年の最初の段階から既にあるレガシー要素を組み込んでいました。
その【謎】の真相にたどり着いた方はこっそりとDMで送ってください。 pic.twitter.com/rqxEI0Xjr8
このポストをきっかけに新たに一人が答えに辿り着き、観測範囲内では製作者を含め3人のみがその真実を知り得ています。
【印刷会社の人を入れれば少し増える?】
そもそもこの謎は、流通が始まった2022年の段階ではノーヒントで、取っ掛かりがありません。
謎の存在を示唆すらされてない状態では、さすがに気付くのは無理筋というもの。
ヒント足りえる情報が公になったのは1年半後、2023年秋に発売された拡張セット7「黒鍵」にあります。
このゲームの主要なカードの一つ、「ユニットカード」はユニークカードになっており、それぞれに通し番号が付いています。
2022年に一挙に販売した基本セット、拡張1~6、レイドセットの全体でユニットカードは丁度100枚。
その時点での最後の通し番号は「100」になっています。
この時点では何も不自然なことはありません。
そして2023年秋に発売した拡張7に含まれるユニットカードの通し番号は、「102」から始まります。
そう「101」が抜けています。
これは欠番なのか、ただのミスなのか
あるいは「101番のユニットカードが存在するのか?」
これが精霊回路ドライヴゼロの謎。
ちなみに、拡張7・8の「ボードゲームの最終回」 は、制作過程で生み出されたものであり、そもそもの拡張7を作る理由には上記のヒントを出すという目的が大きかったです。
そう、このヒントを出す為だけに拡張セットを作ったのです。
その結果、謎レガシーをきっかけとして、別の最終回レガシーに辿り着くという、不思議なめぐり合わせがありました。
先の「101番のユニットカードが存在するのか?」 という問いの答えは
Yes、です。
「101番のユニットカード」は2022年の段階で“実際に存在”し、
そして
それを既に所有している人が多数いる。
しかしそのほとんどの人が
「自身が101番のユニットカードを所有している」
ということを知らない。
という事実。
これこそが精霊回路ドライヴゼロの真の謎。
「裏技」の如く、誰かが手にしているそのコンテンツの中に確かに存在しながら、本人にも気付かれることなく秘匿され続けているイースターエッグ。
アナログに仕掛けられた、無期限時限式の隠しキャラ。
「そのカードを所有しているのに、所有しているに誰もがその“存在”を知らない」
という、ボードゲーム界隈全体を見ても非常に特異な状況を、ただ一人観測しているという、この言葉にし難い不思議な高揚感を、この3年半堪能し、また持て余していました。
ゲーム制作者だから仕組むことができた、ある種の特権であり、一方でその状況に愉悦を見出すのはちょっと傲慢ではあるかも、という後ろめたさ。
昔のゲームで意図的に裏技を仕込んだ開発者もこんな気持ちだったんでしょうか?
もし誰も秘密の存在にすら気付かなかった場合は墓まで真実を持っていくつもりでしたが、こうして自分しか知らない秘密の存在を詳らかにするというのも存外悪くありません。
東尋坊に追い詰められた犯人がペラペラ喋りだす気持ちがちょっと分かります。
秘密を秘密のままにしとくってのは、抱えてる側としては結構ストレスなんですよね。
ちょっと肩の荷がおりた気がします。
しかし、ここまでの内容では“秘密が存在する”という事実のみが明らかになっただけで、“秘密そのもの”はまだ謎のままです。
精霊回路ドライヴゼロを持っている人は、その“秘密そのもの”、つまり「101番のユニットカード」を探そうとするでしょう。
ただ、残念なお知らせですが、
この「101番のユニットカード」にアクセスできる可能性があるのは、精霊回路ドライヴゼロ関連を所有しているうちの【242】人だけです。
これは、つまり現時点でカードを所有している人数です。
一方で、242人が誰なのかという情報は、私自身把握しているものでなく、所有の条件を満たすのが242人ということが分かっているだけです。
「何その242人って数字」
と疑問に思われるかもしれませんが、数字の根拠自体は実に明快で、しかし9割答えになってしまうので言及は出来ません。
(…レガシー系作って散々思い知らされたんですが、「言えない」ことが多すぎて、歯痒いというかもう通り過ぎて苦々しいまであるのつらみ)
とはいえここもノーヒントだと厳しいので、
【2022年の、本来出展予定だったゲムマ大阪が中止になった際に、BOOTHで通販開始したときに購入してくれた方が可能性が高い】
です。
そういう点では、旧来の精霊回路ドライヴシリーズのファンに向けた、ある種のファンサービスという位置付けでもあります。
「101番のユニットカード」に辿り着いても、“それ”を実際にゲームに使うには重大な不可逆的事案が発生し、それを躊躇われる方も多いと思うので、BOOTHにて印刷用データを無料公開しようと思います。
12月中は答えに辿り着いた人向けにパスワードを設け、来年1月以降は誰でも使えるよう、パスワードを外して全体に無料公開します。
>>公開はこちら ※外部サイトに飛びます。
パスワードに関する情報はXで別途公開する予定です。
もし「101番のユニットカード」を見つけた方は、「見つけた」ということはSNS等で好評しても構いませんが、どこで見つけたとか、カードの情報を公開するのは、来年1月までは待って頂ければと思います。
何卒よろしくお願いします。
ということで、「ボードゲームに裏技(隠しキャラ)を仕込む」っていう話だったんですが、それを通して伝えたいのは「ゲーム制作は自由だ!もっと楽しもうゼ!」ってこと?かな?
自由には責任が伴うワケで、この場合の責任は「購入してくれた人を楽しませる」ってことになるんだろうけど。
やっぱりそれ以上にゲーム制作は、作ってる本人が楽しくないと。
めちゃめちゃ苦しいからこそ、余計にね。
自分が楽しめるゲームを作って、自分がワクワクして、それで遊んでくれた人が楽しんでくれたら花丸100点満点。
商業作品ならともかく、同人制作だからこそ、そういうところは大事にしたい。
数字や結果に囚われて、ゲーム制作の楽しさを見失わないことを願って。
それでは、良いゲームライフを。
【ヒントはこの括弧】